元トイザらスのお兄さんが広瀬すずちゃんのCMについて考えた
ポケモーーーニング!!
みんな、広瀬すずちゃんのcmは見たかな??
お兄さんはもう20回は見たよ!



ということで、久しぶりに自分がトイザらスのお兄さんだったことを思い出しました。

皆さんはもう見ましたか?
昨日公開されて、twitterでも話題になっていましたね。

プレイヤーの方からしてみると、納得いかない演出もあったようです。
無言プレイとか、シャカパチとか。
なんで真剣な顔なの?とかもっと楽しそうにやれば?とか。

でも、これらの演出は、
CMというものがなんのためにあるか考えると、
実によく考えられて作られたものだと思います。

…と思うんですが、
私は映像に関しては素人でして、

「かっこいい!」「かわいい!」以外の語彙を持ち合わせていないので困っていたら、
実は映像をずっとつくっていたロロおじくんが、
CMについての記事を一晩で書いてくれました。はやい!

http://taiatari.net/consideration/3376/

余談ですが、正しいことを書くのはがんばればできますが、
ユーモアのある書き方をするのって難しいですよね。
彼の文章はいつもちょうどよく肩の力を抜いて読めるので好きです。





さて、映像の専門化から、
「動画の構成」「音」「各演出」に関して説明していただきました。
やっぱり専門家はすごいですね。

ここで、私の話なんですが。
元トイザらス店員で5年間子ども相手に接客をして、
今もお茶屋さんとして、店頭で接客をしています。

私からはもっともっと日常に即した話、
売れるってどういうこと?」という話を補足として書いて見ます。





ロロおじも書いてますが、
CMというのは売るためにあるんですよね。




当たり前のことですがもう少し考えて見ましょう。
このCMは誰に売るためのCMなのでしょうか。

答えはCMを見てる人です。


馬鹿にしているような回答で申し訳ありませんが、大事なところだと思います。

このCMは、このCMが流れるテレビ番組を見ている人に向けられたCMなのです。

この時点でロロおじと結構視点がちがってて面白かったですね。



twitterなどでは、
このCMの雰囲気がちょっと大人っぽいことから、
「大人向けなのかな?」という感想を持った方もいたかなと思いますが、
都内のオシャレなバーに行くような大人はそもそもテレビをあんまり見ないですし、
見てもそこにポケモンカードのCMは流れてないですよね。

また、ネット広告というものは、
あなたの趣味や得たい情報によってコントロールされています。
あなたがtwitterでCMを見られたのは、
ポケモン公式をフォローしていたから、もしくはそういうアンテナを貼っていた人をフォローしていたからですよね。
ポケモンにもカードにも興味のない人のSNSにはそもそもこれは出てきません。たぶん。

そこらへんは素人なので割愛します。
コマーシャルや広告に詳しい方がいたら補足してください。



とりあえずここまでまとめると、ポケモンカードのCMが流れる番組を見ている人がターゲットなのです。
考えると当たり前ですが、意外と見失いがちな人も多そうです。

ターゲットの話はこれ以上考えてもわからないのでとりあえず、
ターゲットは「女子小学生」ということにして考えてみます。
男子小学生がターゲットなら僕ならHIKAKINさんを使います。
だからたぶん女子小学生。JS。





話をもどして、「売れる」ということについて。
売れる現場をイメージしながら書いていきます。

JSに売りたい、と思っても、
JSの少ないお小遣いでは、そんなに一人で買い物ができません。

大概はお父さんお母さん、またはおじいちゃんおばあちゃんと一緒に買いに来ます。

トイザらスに5年いましたが、
JSが保護者同伴なしでポケモンカードを買っているシチュエーションはほぼありません。
大抵は、休日、昼間、家族で買われることがほとんどです。



となると、

JSに売るためには2つの要素が必要ですね。

①JSに「欲しい!」と思わせる
②保護者に「買ってもいいか」と思わせる

ここ、この記事で重要なところの一つです。
子供向け商品は、このどちらも満たさないと売れないんです。



まず、①ですが、
欲しいと思わせるにはどうすればいいか。
これは簡単です。自分の憧れの人が勧めてくれるものは欲しいのです。
JSにとってのそれが広瀬すずです。

CMで考えると難しいかもしれないので、
今からショッピングモールに思考を飛ばしましょう。
あなたがそこに立ってJSに1日ポケカを売ってくださいと言われてどれだけ売れるでしょうか。

私は、自分ではまぁまぁ売れると思います。
でもポケカを全く知らない山崎賢人が売った方が10倍は売れると思います。
では広瀬すずなら?

要はCMも対面販売も同じで、
この人が勧めるなら買いたい」と思わせるかどうかが大事です。

もっと身もふたもないことを言うなら、
何を言うかより、誰が言うかの方がはるかに重要です。

ちなみに、私は広瀬すずのファンでもなんてもないです。anoneもちはやふるも観てないですし、
そもそもテレビも映画もあまり観ないですが、
それでも、広瀬すずが女の子から圧倒的に尊敬されていることは常識として知っています。
それくらい大きな存在です。




続いて②を考えてみます。

私、トイザらスの経験が長いですが、
今は「ルイボスティー」という得体の知れないお茶を対面で販売する仕事をしています。

そこで働いてすぐわかったことは、

なんだかわからないものは絶対売れない

ということです。超大事ですこれは。

ポケモンカードの話に戻すと、
例えば対戦風景のCMを流したとしましょう。

おじいちゃんおばあちゃんには何をやっているか全くわかりません。100%わかりません。

もう、その時点で買う気にならないです。

(まぁ、おじいちゃんおばあちゃんならなんだかわからなくても孫にせがまれて買う場面はありそうですが、
それを言い出すとCMとか商品の質関係なしに、孫の可愛さと財布の厚みの勝負になるので考えないことにします。)


とにかく保護者に買ってもらうには、
保護者にもなんとなくわかった気にさせることが大事です。

保護者にもなんとなくわかるものはせいぜいトランプまでです。

ゆえに、
②を達成させるためには、

ポケモンが書いてあるトランプみたいなものなのね

と思わせなければいけません。


例えばこのCMには「宣言」が出てきません。
「山札」ならギリわかるかもしれませんが、「トラッシュ」とか言った時点でもう無理。そんな単語知りません。シャットアウト。

また、よく見るとカードの「テキスト」がほとんど出てきません。
いい具合にぼかされたりしてます。
これは上手いです。
「トランプ」しか触ったことのない人に、カード毎に違う文章が書いてあるカードなんてできるわけわりません。

すずちゃんがテキストを読んだ瞬間、
お母さんの「あー、わたしには無理無理フィルター」が発動します。
これが発動するともう無理。
自分がわからないものは娘にもわからない。
「あんたには無理よ」攻撃開始。論破。おわり。

一方、「コイン」と「ダメカン」 は出てきます。
これは保護者に好意的に取られるようです。
コインは簡単だし、ダメカンはおはじきみたいだし、
なんなら算数の勉強になるかも、と思われるかもしれません。
ダメカンに数字が書かれているのは良デザインであることがわかりました。

でも「スリーブ」は出てきません。
当然ですね。スリーブが出てきた時点で、「トランプみたいなもの」じゃなくなって、
「なんだかよくわからないもの」になります。ゲームセット。
カードをスリーブに入れるのが当たり前、なんて思ってるのはごく少数のカードゲーマーだけです。

「なにこの袋、これも買わなきゃいけないの?」
「え、わかんない」
「わかんないならできないでしょ!」
負け。



ということで、
カードゲーマーの皆様にとっては、
宣言もテキストもスリーブも必要かもしれませんが、
CMには不要、
不要というかむしろ絶対にあってはいけないものだということがおわかりいただけたでしょうか。

理由は「トランプみたいなもの」だと思わせなくてはいけないからです。


逆にそれができれば買ってくれるかもしれませんね。

ここで広瀬すずというキャスティングが活きてきます。

「ちはやふる」を見た女子小学生は、自分も「百人一首」やりたい!という気持ちに一度はなります。
だってあの映画、クラスのみんな見てるし、かっこいいし、すずちゃん可愛いし、

でも百人一首は難しすぎて一度挫折します。
親的には百人一首なら自分も知ってるし教養になるから買ってあげるかもしれませんが、
これは娘が挫折します。難しすぎる。

全国のJSの50%は百人一首に挫折しています。
今の20代男子の50%がかつて囲碁に挫折したように。

そこにきての、「ポケモンのトランプみたいなもの」を“あの”すずちゃんがかっこよくやってる!!
かっこいいし、これならできそう!!

です。お分かりいただけたでしょうか。

おじさんからみれば広瀬すずはなんか可愛い若い女優くらいの認識かもしれませんが、
JSから見ると、かわいいしかっこいい、えいがの賞とかとってるしすごい、憧れの象徴です。


ここまで読んだらもう一度CMを、
ポケカを知らないおじいちゃんおばあちゃんになったつもりで見直してみてください。
難しいと感じるでしょうか。それともトランプみたいなものに見えるでしょうか。




おわりに

ここまで読んで、ちょっと大げさに書きすぎだと思われた方も多いと思います。
うちの家族もう少しリテラシー高いよ、と。

ですが、こうやってインターネットで情報を得るためにこんな長い文章を読んでくれる時点で、
国民単位で考えた時に相当高いメディアリテラシーをすでにお持ちなのです。

世の中のほとんどの人は情報をテレビと近所の人との会話で得ています。
CMというのはそういった人のために作られています。と思います。
youtubeで動画を見てamazonでカードを買って個人ブログで情報収集をするような人は放っておいても勝手に始めるので
そういうリテラシーの高い方のためにCMは作っていません。知らないけどたぶん。



ダァーっと書きましたが、
ロロおじの考えとも結構違うし、自分が昨日言ったこととも結構違うし。
これが正しいと主張したいわけではありません。
こうだったら、こうかな?という思考のトレーニングみたいなものです。

この記事で1番大事なのは、「なんだかわからないものは売れない」というところかもしれません。

これは自分で書いてあらためて自分で反省したところです。

CMだけでなく、あなたの記事、あなたのイベント、あなたの発言、
田舎のおばあちゃんが見てもJSが見ても理解できるでしょうか。

コメント

どら(PCG長崎)
2018年5月29日19:19

最後まで一気に読ませていただきました。
面白いですね!
私は、「どの層に向けたの?」と書きましたが、みなさんの考えを読むとなるほどと納得させられます。

せっかくなので後で自分の考えも書きたいと思います。

サンジ
2018年5月29日21:32

私は、なんだかわからないものを手に取ってもらえる場があると、効果があがると思うので、初めて教室みたいなイベントをやってもらえたら・・
と思ってます

トイ
2018年5月30日8:54

>どらさん
長文お読みいただきありがとうございました。
どらさんのように、これは何で?って声に出してくれる人がいたおかげで
こういった記事を書けたので、それは大事だと思いますり
どらさんの記事も興味深く読ませていただきました。

>サンジさん
そうですね。買わなくてもいい、となると親のハードルは一気に下がると思います。
場所の交渉と成果のコミットだけできれば、
資金援助は公式が…なんて時代が来るといいですね。

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